大原司法書士事務所

不動産相続の手続でかかる費用の内容と大きさについて

不動産相続の手続でかかる費用の内容と大きさについて

カテゴリ:司法書士コラム

遺産に不動産があるとき、相続の手続を進めるにあたって様々な費用が発生します。例えば名義変更のために登記手続をするには「登録免許税」の納付が必要です。不動産を含む、相続等で取得した財産の価額に応じた「相続税」も納めなければなりません。

また、各種手続を進めるときの必要書類取得にも費用がかかりますし、専門家に依頼するにもやはり費用はかかります。
この記事ではこれら“費用”について触れ、費用の大きさなどを説明していきます。

 

不動産相続で必要な手続について

相続に際して不動産を取得するまでには、死亡届の提出や相続人の調査、相続財産の調査、そして遺産分割協議から登記申請などを行わなければなりません。また不動産を取得することが確定してからも相続税の申告と納税が必要です。

 

各手続では必要書類の作成や提出が求められ、さらに準備では役所などの窓口で発行を請求しないといけません。その度に手数料が発生しますし、司法書士や行政書士、弁護士、税理士などに相談するとまたその依頼料も発生します。

 

不動産の相続でかかる費用

不動産の相続でかかる費用について、代表的なものを以下で紹介していきます。

 

相続税

相続税は、不動産に限らず相続や遺贈により被相続人の財産等を受け取ったときに課税される税金です。ただ、不動産のように価額の大きなものがあると、それだけで納付すべき相続税の額は膨れ上がることがあります。特に土地は遺産の中でも価額が大きく、しかもすぐに換金ができるものでもないため、相続税納付にあたって現金の負担が大きくなってしまいやすいです。

 

そこで不動産を相続するときには「利用できる控除や特例はないだろうか」という視点を持つことが大事です。
例えば土地の評価額を大幅に下げることができる「小規模宅地等の特例」があります。生活基盤として使用している宅地に大きな税負担がかかってしまうと、それを手放さないといけなくなるおそれがあります。これは生活保障の観点から望ましくありません。そこで同特例では、いくつかの要件を満たした宅地について、一定の面積につき最大80%の評価減をすることができると認めています。

詳しくは国税庁のホームページで説明されています。

 

いずれにしても、相続税については金額が大きくなりますから、税理士に相談して計算してもらうといいでしょう。

 

登録免許税

相続で取得した不動産の名義変更は、登記により行います。そしてこの登記を行う際、「登録免許税」の納付が必要になります。

 

納めるべき登録免許税の額は、“固定資産税評価額×税率”で算出されます。税率は、所有権移転の原因などによって異なります。

 

相続で取得した場合には「0.4%」、遺贈で取得した場合には「2%」が適用されます。
※法定相続人が遺贈で取得するときは「0.4%」が適用される

出展:国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」

 

なお、相続登記については現行法だと法的義務とはされていません。そのため無理に登記をする必要はないのですが、この場合、所有者の権利を守ることができず第三者に所有権を奪われるおそれがあります。また令和6年4月1日より相続登記の義務化が予定されていますので、相続で不動産を取得したときは登記を行うもの、と捉えておくようにしましょう。

 

相続登記が義務化されます(令和6年4月1日制度開始)   ~なくそう 所有者不明土地 !~:東京法務局 (moj.go.jp)

 

各種書類の取得費用

不動産を相続するまでの手続で提出を求められる書類がたくさんあります。それぞれ発行をするのに手数料が発生します。

 

例えば「戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)」の取得には450円が、「除籍謄本(除籍全部事項証明書)」や「改製原戸籍謄本」の取得には750円が必要になります。

 

その他、戸籍の附票の写しや住民票の写し、印鑑証明書、固定資産評価証明書などの発行には1通あたり300円前後が必要になります。

なお、これらの手数料額は市町村によって異なりますのでご注意ください。

 

専門家への依頼料

相続手続については、司法書士や行政書士、弁護士などに相談・依頼をすることができます。

 

窓口に提出を要する書類の取得を代わりにしてくれたり、書類の作成をしてくれたりします。専門家によって専門分野が異なり、依頼できる内容に差があります。例えば相続人間のトラブルを解決するために交渉を依頼するなら弁護士、相続税の計算や申告書の作成などは税理士に依頼をします。
同様に、不動産相続登記をするときは、司法書士に依頼をします。登記申請のプロは司法書士だからです。

 

依頼料は司法書士事務所によって異なりますし、依頼する内容、範囲によっても異なります。相続登記の手続だけであれば数万円から10万円ほどが相場とされています。依頼前によく確認しておきましょう。