株式会社の設立登記事例
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1.3月の某日、事務所の電話が鳴った。
「司法書士の先生ですね、ちょっと会社の設立についてご相談したいんですが」
「いいですよ。明日にでもご来訪ください。」
2.翌日顧客が来訪、学校が休みとて、妻子連れ。
「実は独立を考えていて。これこれこういう事業をやる会社を立ち上げたいんですが」
「一口に会社設立と言ってもそう簡単じゃないので、
① 定款の作成と認証
② 資本金の払込み
③ 設立登記
の3段階に分かれます。今は、公証役場とか法務局とか、勤務体制がどうなっているかにもよるので、一般的なスケジュール通り運ぶかよくわからないところがありますよ。」
「創立記念日は4月半ばを考えているので、登記がそれに間に合えばいいんです。」
「だったらたぶん大丈夫でしょう。まずは、印鑑証明書が必要なので取ってください。
それから、実質的支配者のチェックが必要なので、運転免許証のコピーも頂きます。
印鑑証明が取れたら一緒に持ってきてください。それと、公証人役場の手数料が52000円かかります。電子定款なので、40000円の印紙代は節約できます、」
3.印鑑証明書、運転免許証コピー、実質的支配者の届出書、公証役場手数料を受け取り、領収書を発行。
4.一人会社の定款ひな形をメールで示して、
「公証役場で定款認証してもらうんですが、事前に公証役場に送信してチェックを受けておく必要があります。これでよろしいでしょうか、」
確認のうえで、定款案を作成し、公証役場へ送信。実質的支配者の届出書も送信。
5.公証役場の事前チェック終了。
定款案と電子定款作成委任状を袋綴じして、押印・契印をもらう。
並行して、申請用総合ソフトで電子定款の認証につきオンライン申請。
6.公証役場に電話して受領日付をセットアップ。
手数料を持参して電子定款収納ROMと定款謄本等を受領。
7.顧客に定款謄本等を引渡し、次のステップである資本金払込みについて必要書類を教示。
創立記念日に登記申請するので、その2週間前以内に払い込みが必要。
〇 取締役の就任承諾書
〇 払込証明書及び払込み事跡のわかる通帳コピー
〇 印鑑届
〇 印鑑カード交付申請書
〇 設立登記委任状
このうち、取締役の就任承諾書や印鑑届では個人実印を押す欄があり、間違いやすい。
他の書類はすべて会社代表社印。
登記申請費用として登録免許税分150000円を預かり、領収書発行。
8.登記申請日前日までに、申請用総合ソフトで登記申請書、登記事項内容、添付書類を入力、電子署名を済ませて、翌日のオンライン申請送信だけの状態にしておく。形式的エラーチェック完了。
9.当日に申請送信、登録免許税の電子納付完了、申請番号確定後、別途送付する添付書類の送付票を印刷、返送用レターパックを同封してレターパックライトで発送完了。
10.翌日、申請用総合ソフトからのお知らせで、添付書類が届いたことが確認された。
11.最短コースで、申請用総合ソフトからの手続終了通知。
12.翌日、レターパックで印鑑証明書原本と印鑑カードが到着。
13.電子定款収納ROM、印鑑カード、印鑑証明書原本を顧客に引渡し。
司法書士報酬を受領し、領収証発行。
これらが典型的な一人会社の設立登記の流れですが、日程的な余裕があるのが特殊です。
委任を受けたのが3月、設立登記の希望日が4月中旬だったので、比較的余裕をもって申請ができま
した。
通常の場合は、これほど日程に余裕がなく、4月1日に設立したいという希望があったりしますが、
公証役場での定款認証→資本金の払い込み→設立登記という3ステップが必要なので、できるだけ早めにご相談いただくのがいいでしょう。
この事例では、株式会社の設立をご希望でしたが、内容によっては、登録免許税の安い合同会社の方が目的に沿うかもしれません。
以 上