不動産の住所・氏名変更登記の義務化|申請期限と手続きの流れ
カテゴリ:司法書士コラム
2026年4月1日から、不動産の所有者は住所や氏名(法人の場合は本店所在地・名称)に変更があった場合に変更登記の申請をすることが義務付けられました。これまでは任意とされてきた手続きですが、放置すると過料が科される可能性があります。
そこで申請期限や手続きの基本については押さえておかなくてはなりません。「スマート変更登記」という新たな仕組みについてもここでご紹介いたします。
所有者不明の土地を減らすことが法改正の目的
不動産の登記情報に記載された住所や氏名が更新されないまま放置されていると、所有者に連絡が取れず、相続、公共事業の用地取得などに支障が生じます。
こうした「所有者不明土地」は全国に広がっており、大きな社会問題となっているのです。
この問題に対処するため不動産登記法が改正され、相続登記の義務化と同じ流れの中で住所等変更登記の義務化も法定されました。2026年4月1日にすでに施行済みとなっています。
変更登記申請の期限と過料について
義務化の内容はシンプルで「住所や氏名に変更が生じた日から2年以内に変更登記を申請すること」が必須となっています。
たとえば、2026年6月10日に引っ越した場合は、2028年6月9日が期限。2027年5月1日に結婚して氏名が変わった場合は2029年4月30日が期限となります。変更が生じるたびに2年のカウントが始まると覚えておくと良いでしょう。
また、「正当な理由なく対応しなければ5万円以下の過料を科す」というルールも設けられています。重病、DV被害で居所を明かせないなど、特別の事情があれば過料の対象とされずに済みますが、基本的には申請しないといけないものと考えておきましょう。
※重病等のほか、後述の「スマート変更登記」の申出をしているが法務局の職権登記がまだ完了していない状態も、正当な理由として認められる。
過去の変更分も義務化の対象!
改正法の施行は2026年4月1日ですが、それ以前の住所や氏名の変更についても義務化の対象に含まれています。
過去分に対しても期限が設定され、改正法施行から2年、つまり2028年3月31日となっています。
「ずっと前に引っ越したが登記はそのまま放置している」「結婚してから氏名が変わっているが手続きをした記憶がない」という方はご注意ください。
変更登記申請のやり方
変更登記は、不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)で行います。
《 申請方法は3つ 》
- 窓口への持参
- 郵送
- オンライン申請
添付書類は変更の種類によって異なり、住所変更であれば住民票の写しや戸籍の附票など、氏名変更であれば戸籍謄本など、変更事実を証明できる公的書類が必要になるでしょう(具体的な必要書類はケースにより異なります)。
なお、費用として登録免許税が不動産1件につき1,000円かかります。
複数の不動産を所有していて管轄の法務局がそれぞれで異なるケース、引っ越しや改名が複数回にわたるケースでは手続きがやや複雑になることがあります。こうしたケースでは専門家への相談を検討してください。登記関連では司法書士にお任せいただけます。
自動で申請を進められる「スマート変更登記」をチェック
スマート変更登記とは「所有者があらかじめ一定の情報を法務局に申し出ておくことで、その後の住所・氏名の変更を法務局が職権で自動的に登記してくれる仕組み」のことです。
つまり、変更のたびに自分で申請する必要がなくなり、義務違反を心配する必要もなくなります。手続きは無料ですし、登録免許税もかかりません。
利用方法は、個人と法人とで以下のように異なります。
※海外居住の個人や会社法人等番号を持たない法人はスマート変更登記を利用できない。変更のたびに登記申請を行う必要がある。
利用方法―個人の場合
個人の方はWebブラウザから「検索用情報の申出」を行いましょう。
※「Webブラウザから、かんたん登記・供託申請」
提出する情報は、現在の氏名・氏名ふりがな・住所・生年月日・メールアドレスの5点です。
申出後は、法務局が定期的に住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)に照会することで、住所の変更などが確認されます。変更が確認されるとメールなどでいったん本人に確認が取られ、了解が得られた方について順次、職権で変更登記を行うという運用になっています。
利用方法―法人の場合
法人においても、「Webブラウザから、かんたん登記・供託申請」のページからスマート変更登記を利用できるようになります。ここから会社法人等番号を法務局に申し出ます。
商業・法人登記システムと連携しておりますので、商業登記上で本店や名称の変更が生じると、不動産登記上の住所等も自動的に更新されます。申出も費用もかかりません。
手続きに迷ったら司法書士にご相談ください
「変更登記の申請に関してわからないことがある」「申請手続きを代理で進めてほしい」という方は司法書士にご相談ください。
スマート変更登記の申出方法がわからない、過去の変更が複数回ある、複数の法務局が管轄する不動産を保有している、といった場面でも司法書士にご依頼いただければ申請義務に反することなくスムーズに対応を進めることができます。
