相続登記にかかる費用相場| 登録免許税、書類取得費用、司法書士費用について
カテゴリ:司法書士コラム
相続で土地や建物など、不動産を取得した方は相続登記を行わなければなりません。そして登記の申請を行う前提として必要書類の収集が必要ですし、手続きの際には登録免許税の納付も欠かせません。また、登記申請には専門知識も要するため司法書士に依頼することが多くその際には司法書士費用も発生します。
これら、相続登記にかかる費用についてご紹介します。
相続登記の申請にかかる登録免許税
相続登記のために必須で、金額も大きくなりやすい費用が「登録免許税」です。
土地、建物のいずれについても適用される税率は0.4%です。売買や贈与により取得したときの登記申請だと2.0%が適用されるため、相続登記では比較的負担が小さく抑えられているといえるでしょう。
ただ、不動産の場合は財産の価額がその他の財産に比べると大きい傾向にあるため、0.4%でも10万円を超える負担が生じることが珍しくありません。
算定の基準となるのは「固定資産税評価額」であり、もし相続する土地の評価額が2,100万円、建物の評価額が400万円だとすれば、合計で10万円の登録免許税が発生します。不動産の固定資産税評価額が1億円にのぼるときは登録免許税も40万円まで膨らみます。
相続登記は必ずしないといけない
不動産の名義は登記申請により登録します。売買や贈与などが原因で所有権の移転があったときは通常登記申請を行うのですが、これは法律上の義務ではなくあくまで任意による行為です。
しかし相続で取得したときは別です。法律上、登記をしないといけないと定められており、この義務を履行しないときはペナルティとして最大10万円の請求を受ける危険性があります。
相続が繰り返され、所有者不明の土地が増えてしまったという事実が同制度の背景にはあります。
相続人申告登記に登録免許税は不要
義務である相続登記は、3年以内という期限内に行わなければなりません。相続開始後、スムーズに遺産分割協議が進み取得者が確定できれば十分間に合わせられるでしょう。
しかし協議が難航してなかなか各財産の取得者が定まらないというケースもあります。そのような場合は「相続人申告登記」という手続きを利用します。
これは、期限内の相続登記の申請が難しい場合において、簡易に申請義務を履行するための仕組みです。不動産の権利関係を公示するという本来の機能は果たしませんが、いったん自らが相続人であることを申告することによってペナルティを課されるリスクを回避することができます。
そしてこの相続人申告登記の特徴の1つに「登録免許税がかからない」という点があるのです。
登録免許税の免税措置が適用されるケース
通常は登記申請にあたって登録免許税の納付義務が生じますが、以下の場合にはその義務が免除されます。
※以下いずれのケースも2027年3月31日までの免税措置であることに留意。
被相続人を名義人とするための相続登記
たとえばある土地を所有していた祖父Xが亡くなり、その一次相続にて相続人となった父Yが当該土地を取得したとします。
このとき父Yを名義人とするための相続登記を行う前に、父Yが亡くなり二次相続が開始されると、二次相続における被相続人の子Z及びAは、①祖父Xから父Yに移転するための相続登記と②父Yから自分たちに移転するための相続登記、この2つの義務が生じます。
ここで、ZとAの遺産分割協議が早期にまとまれば、XからYへと、YからZAへの相続登記が行われるので問題は生じないのですが、遺産分割協議が長引くと、やむを得ずY名義での相続登記だけを先行せざるを得ない場合が生じえます。
原則的にはそれぞれに登録免許税が発生するところ、2027年3月31日までであれば、免税措置として①にかかる登録免許税に関しては免税となります。
※②の登記に関しては通常通り課税あり。
100万円以下の土地の相続登記
相続した土地の固定資産税評価額が100万円以下であるとき、2027年3月31日までであれば、免税措置として登録免許税の納付義務が生じません。
100万円以下の土地の相続人が受ける所有権保存登記についても同様です。
相続登記に必要な書類の取得費用
相続登記の申請を行うには、戸籍謄本や除籍謄本、改製原戸籍謄本、住民票、印鑑登録証明書などの書類を集める必要があります。それぞれの発行には費用がかかりますが、1通あたり数百円程度と大きなものではなく、数千円程度あれば十分です。
ただし被相続人の転籍回数が多いケース、相続人の数が特に多いケースなどでは集めるべき戸籍謄本等が多くなるため、書類取得のために必要な費用負担もやや大きくなってきます。
司法書士に依頼するための費用
司法書士に相続登記を依頼する場合は、数万円~20万円程度の費用も発生します。
具体的な金額は依頼先の司法書士事務所によって異なり、また、依頼する範囲によっても変わってきます。司法書士は登記のプロであるとともに相続に精通した専門家でもありますので、相続登記のみならず遺産分割協議のサポートや遺産分割協議書作成の依頼、そのほか相続人の調査なども併せて依頼するとその分費用は大きくなってくるでしょう。
いずれにしろ料金体系は依頼先によるため、詳細は面談時によく確認しておくことをおすすめします。