司法書士に成年後見の相談をする5つのメリット
カテゴリ:司法書士コラム
判断能力が衰えてきた方に対して法的な保護を行う制度が「成年後見」です。利用手続きやその後の運用にあたっては法律の知識が必要になるため、司法書士に相談するケースが多いのですが、その理由を細かく見ていくと5つのメリットから説明することができます。
ここでは、そのメリットについてそれぞれ解説していきます。
成年後見制度の良し悪しを教えてもらえる
成年後見制度を利用するにあたってまず重要なのは、その制度自体のメリットとデメリットをしっかりと理解することです。
司法書士は法的な専門知識を持ち、制度の利用方法や注意点などをわかりやすく説明することができます。ご家族の方が制度利用を検討している場合、成年後見制度が本人や家族にとってどのように役立つのか、反対に不利になる面がないかといった助言を提供してくれる点が大きな利点です。
また、成年後見制度には法定後見の①後見、②保佐、③補助の3種類があるほか任意後見があるなど、いくつかの利用パターンがあります。司法書士がついていれば、本人の状況や希望、財産状況などを考慮して最適な利用方法を知ることができるでしょう。
さらに言えば、必ずしも成年後見制度が最適な解決策とは限りませんので、法的な制度に精通する司法書士に相談することで他の仕組みを使った問題解決方法についても説明を受けることが期待できます。
制度利用にあたっての書類作成を頼める
司法書士に成年後見の相談をするもう一つの大きなメリットは、「制度を利用するための書類作成を頼める」という点にあります。
成年後見制度の利用には、申立書や診断書、財産目録など、さまざまな書類の準備と提出が求められます。法律や制度に関する専門知識がないと、スムーズに作成することは難しく、不備が含まれているとさらに時間も労力も費やすこととなってしまいます。
しかし司法書士がついていればこれらの書類作成を任せることができますし、必要に応じて医療機関との連携、財産調査なども行ってくれます。
例えば以下のような書類作成をサポートしてくれます。
- 申立書(成年後見制度の利用開始を家庭裁判所に申し立てるための書類)
- 財産目録(本人が所有する財産を一覧にした書類。不動産、預貯金、株式、保険などすべての財産を記す)
- 親族関係図(本人の親族関係を図示した書類)
司法書士に書類作成を依頼することで、時間と手間を大幅に削減でき、安心して成年後見制度利用に向けての準備を進めることができるでしょう。
トラブルを回避しやすくなる
司法書士への相談を通して、「成年後見制度の利用に伴うさまざまなトラブルを回避しやすくなる」というメリットも得られます。
成年後見制度は本人を法的に保護する有益な制度ですが、一方で、親族間の対立や後見人による不正、本人の意思の無視、手続きの煩雑さなど、さまざまな場面でトラブルが起こる可能性も持ち合わせています。
司法書士は法律の専門家として、これらのトラブルを未然に防ぐための具体的なアドバイスやサポートを提供してくれます。例えば、後見人候補の選定や後見事務の内容について、中立的な立場から親族間の調整を図ります。
後見人等になってもらえる
本人の家族・親族を後見人等(成年後見人・保佐人・補助人など)にすることもできますが※、専門家でない方が対応することでミスが生まれやすく、不正の危険性も高まってしまいます。
※候補者として立てた方が必ずしも家庭裁判所から後見人等として選任されるとは限らない。
一方、司法書士が後見人等になることも可能で、司法書士であれば専門家の実務として対応しますしより安全に成年後見制度を運用することができます。制度の利用に関して相談し、信頼できると感じたときは司法書士に依頼して後見人等になってもらうことも視野に入れると良いでしょう。
比較的安価にサポートしてもらえる
専門家を利用するとなれば費用の発生は避けられません。例えば次のような費用負担が生まれます。
- 相談料・・・初回相談は無料としているケースも多いが、有料の場合でも数千円程度が一般的。
- 書類作成費用・・・申立書や財産目録などの書類作成を依頼する場合に数万円程度の費用がかかる。
- 後見人等の報酬・・・司法書士が後見人等になった場合、本人の財産状況に応じて月数万円程度の報酬がかかる。
成年後見については司法書士のほか弁護士にも相談できるのですが、全体的な費用の額が弁護士の方が高い傾向にあります。
弁護士であれば訴訟対応など紛争解決に向けた交渉などに対応でき、大きな問題が起こっているときは弁護士に相談することになりますが、トラブルが起こっていない状況下においては司法書士でも全般的に対応可能です。
そのためプロによるサポートを比較的低コストで受けたいという方にとっては司法書士を利用するメリットが大きいといえるでしょう。